標準治療の選択肢がなくなったステージ4の膵臓がん
膵臓がん 73歳 男性
膵臓がんステージⅣで標準治療終了後の患者さま。分子標的薬+プレシジョン免疫療法で、がんと腫瘍マーカー、そしてQOLが短期間に改善しました。
診断名:膵頭部がん 多発肝転移、肺転移、腹膜播種 ステージⅣ
経過:
膵臓がん多発肝転移、肺転移、腹膜播種で緩和ケアに移行した患者さま。ご本人及びご家族は治療を希望されていたため当院受診。病気の勢いがあるためすぐに遺伝子パネル検査を実施し、分子標的薬治療の準備をしつつ、同時にプレシジョン免疫療法(樹状細胞ワクチン療法+免疫チェックポイント阻害剤+放射線療法)を行いました。上昇し続けていた腫瘍マーカーは急降下。また30%まで落ちていた食欲は80%まで回復。腹膜播種による腹壁のしこりも消え、痛みも消失しました。
腫瘍マーカー:CA19-9(37以下 U/mL)が高値でしたが、治療開始後に15,105から1427へと低下しました。
治療期間・回数:
樹状細胞ワクチン療法(4ヶ月・7回投与)
免疫チェックポイント阻害剤(3回投与)
放射線療法(連携医療機関にて実施)
費用:
樹状細胞ワクチン療法(約280万円/セット(7回))
免疫チェックポイント阻害剤(約25万円/回)
放射線療法(連携医療機関にて実施)
副作用・リスク:
プレシジョン免疫療法の副作用は基本的にほとんど認められることはありませんが、未知の副作用等が起こる可能性は否定できません。以下に、可能性のある副作用等についてお示しいたします。
樹状細胞ワクチン療法)
成分採血時:めまい、吐き気(迷走神経反射)、口の周り・手足のしびれ等
細胞培養時:培養時の細菌等の汚染等
ワクチン接種時:注射部位の発赤、皮疹、発熱
免疫チェックポイント阻害剤)
免疫活性が過剰になることによる特有の副作用
間質性肺疾患、重症筋無力症・筋炎、大腸炎・重度の下痢、1型糖尿病、
肝機能障害・肝炎、甲状腺機能障害、神経障害、皮膚障害等
注入に伴う反応(インフュージョン・リアクション)