ナチュラルキラー(NK)細胞療法とは
自然免疫と呼ばれる初期免疫の実働部隊の一つであるナチュラルキラー(NK)細胞を増やし、「樹状細胞ワクチン療法」とは異なる抗がん効果を高める治療法です。
キラーT細胞と異なるメカニズムで、がんと戦う実働部隊
「ナチュラルキラー(NK)細胞」は、がんと戦う免疫細胞の一つです。がんの攻撃役の主役である免疫の実働部隊「キラーT細胞」とは異なり、がんの初期等、司令役「樹状細胞」に依存せずがんに対して攻撃する細胞です。
即効性を期待した免疫療法
がんを攻撃する主役はキラーT細胞になりますが、そのためには樹状細胞ワクチンによってキラーT細胞を増成しなければなりません。NK細胞はこのキラーT細胞を増やさなくても用いることができる免疫療法です。患者さまから採取したNK細胞を約1,000倍に増殖させ、体内に戻します。
樹状細胞ワクチン療法を補強する療法
NK細胞はキラーT細胞とは異なる攻撃をがん細胞に仕掛けるため、樹状細胞ワクチン療法を補強する免疫療法として用いることがあります。キラーT細胞を体内に増成するといったプロセスが必要ないため、樹状細胞ワクチンを開始する前に用いることがあります。また抗体医薬との相性が良いため、お薬によっては積極的に併用をしていきます。
※プレシジョンクリニックグループでは患者さまのお体の状態を見ながら、免疫療法をご提案いたします。
がんの種類や身体状況によっては適応とならない場合もあります。
NK細胞療法が選ばれる理由
患者さまの免疫状態に応じた「免疫療法」をご提案
今受けられている治療を考慮し、患者さま一人ひとりに最適な免疫療法をご提案いたします。NK細胞療法の適応については、がんの部位や治療開始のタイミング、血液検査の結果をもとに他の治療状況と併せてご提案いたします。
5,000例以上の免疫療法の実績のあるプレシジョンクリニックグループだからこそできる、「NK細胞療法」の最適な活用方法をご提案いたします。
採血後、2週間で開始できる点滴療法
NK細胞療法は、採血後、2週間の培養(約1,000倍に増殖)を経て点滴で戻す治療法です。がんが肺や肝臓に転移部位している患者さまや、リンパ球数が少ない患者さま、また、樹状細胞ワクチン療法を開始する前の免疫療法としても検討いただける治療方法です。
メリットは副作用が少ないこと
NK細胞療法は、培養した患者さま自身の細胞を用いた治療ですので、副作用は極めて少ないといえます。副作用としてはまれに発熱や倦怠感などを認めることがありますが、基本的には安全に受けられる治療方法です。
NK細胞療法の流れ
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初回問診
NK細胞療法は、主に樹状細胞ワクチン療法を開始する前の患者さまや、がんの部位によって選択されます。専門の医師が血液検査の結果を見ながらNK細胞療法の適応を考えてまいります。
担当医師よりNK細胞療法について詳しく説明いたしますので、ご質問やご不安な点がありましたらお気軽にご質問ください。 -
検査
採血データや画像データをもとに、NK細胞療法を適応を判断していきます。直近のデータがない方は、必要に応じて血液検査や画像検査を行います。 -
採血
採血を行い、もとになる細胞を取り出します。具体的には、抹消血を約20ml採取します。 -
NK細胞の培養
採血で取り出した末梢血を、厳重に管理された当院のクリーンルーム(細胞加工施設)で培養します。NK細胞療法の培養には、品質検査も含めて2週間かかります。 -
NK細胞の投与
NK細胞は、培養を初めて2週間後に点滴で戻します。 -
治療の評価
点滴の継続は、画像検査や血液検査の結果を見ながら判断していきます。
NK細胞療法の副作用・リスク
本療法の副作用は軽度であり、発熱以外には殆ど認められないことが報告されています。しかし、未知の副作用等が起こる可能性は否定できません。以下に、可能性のある副作用等についてお示しいたします。
- 細胞培養:培養時の細菌等の汚染、アルブミンの使用による未知の感染症
- 点滴時:発熱
あらかじめご用意いただく書類・資料
- 診療情報提供書(紹介状):かかりつけ医療機関が作成するもの
- 臨床検査データ:血液検査・遺伝子パネル検査など、最近のもの
- 画像検査データ:CD-R・DVD-Rなど、最近のもの
- 使用中のお薬の内容が分かる書類、おくすり手帳、お薬の説明書など
費用
費用は1回約30万円となります。 カードでのお支払いも可能です。費用についてのご相談も行っておりますので、治療費でお悩みの場合はまずはご相談ください。
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監修
矢﨑雄一郎
元消化器外科医。日本を代表する免疫療法の開発企業、テラ株式会社の創業者・ファウンダー
1996年に東海大学医学部付属病院に外科医として勤めるも、「救えないがん患者を目の当たりにし、そんながん医療の限界をバイオテクノロジーで変えたい」と新たな道を歩み始める。
その後、世界の最先端医療の開発を行う東京大学医科学研究所の研究員を経て、2004年にテラ株式会社を設立。医師としての経験を生かし、免疫治療を行う日本全国の医師や研究者とともに研究会を発足させて、新しいがん治療の発展に取り組む。特に東京大学医科学研究所と大阪大学の技術のコラボレーションである、WT1ペプチドを組み合わせた樹状細胞ワクチン療法を世界で初めて実用化(2007年)。
がん免疫治療の研究開発で日本をリードし、同分野のトップランナーとして、国内医療機関に対する設備導入実績No.1、国内同治療実績No.1、世界のがん抗原ランキングNo.1など輝かしい成果のもと、医師かつビジネスマンによるバイオベンチャー企業としては、きわめて異例の早さでの上場(JASDAQ)を果たす。これも日本初のチャレンジである、膵臓がんに対する樹状細胞ワクチン療法の本格的な治験を立ち上げ、今もなお保険の承認を目指して進行中。現在、プレシジョンクリニックグループにおいてステージ4がんに対する免疫治療、これからのがん医療の一つとして期待されているプレシジョンメディシン(がんゲノム医療)を推進して日々奮闘する一方、がんにならない社会を目指して「超早期がん医療」の普及にも取り組んでいる。
所属学会:日本癌治療学会、日本がん免疫学会
『免疫力をあなどるな』サンマーク出版; 新装版 (2020/4/28)
6万部のロングセラー。日常生活から免疫力を高めるヒントが盛りだくさん。免疫療法のプロががんと闘う生活、ウイルスとと闘う生活について伝授いたします。