放射線療法とは

放射線療法は、「放射線」をがん細胞に当てることにより、がん細胞を破壊する治療法です。
プレシジョンクリニックグループでは、免疫療法との相性の良い独自の放射線療法、すなわち放射線免疫療法に取り組んでいます。
近年の研究では放射線照射量や回数を工夫することで、放射線によって免疫を刺激することができることが明らかになってきました。当グループにおいては、2013年より放射線療法と免疫療法を併用する治療に取り組んでいます。
放射線療法に免疫療法(樹状細胞ワクチン療法、免疫チェックポイント阻害剤)を併用することによって、照射部位以外の全身転移がんが治癒することが報告されています。
放射線免疫療法による抗がん効果・免疫効果の増強のためには、所属リンパ節における腫瘍局所のがん特異的ヘルパーT細胞とがん特異的キラーT細胞の刺激が重要です。
当院では、キラーペプチドとヘルパーペプチドを用いた独自の樹状細胞ワクチン療法を提供しています。当グループ独自の放射線療法、樹状細胞ワクチン療法、免疫チェックポイント阻害剤を併用した複合がん特異的免疫療法で、より理論的に、より効率的に免疫反応を誘導し、抗がん効果を発揮させます。

放射線療法の種類

放射線療法は照射方法により、一般的な高エネルギー放射線療法、3次元原体照射、強度変調放射線療法(トモセラピー)、定位放射線療法(ガンマナイフ、サイバーナイフ)、粒子線療法(陽子線・重粒子線)があります。がんの部位・特性や保険適応の有無によって患者さまに合った放射線療法を行います。

免疫療法の効果を増強させる放射線療法

がん細胞が活発な状態では、免疫が効果的に力を発揮しない場合があります。免疫療法と並行して放射線療法を行うことにより、免疫が効果的に発揮できる環境を作り、より免疫療法の効果を期待できる可能性があります。

※プレシジョンクリニックグループでは患者さまのお体の状態により、適切な治療方法をご提案いたします。
症状やがんの種類によっては適応とならない場合もあります。

当グループの「放射線療法」が選ばれる理由

免疫療法と組み合わせる独自の放射線療法

プレシジョンクリニックグループでは、免疫療法との相性の良い独自の放射線療法、すなわち放射線免疫療法に取り組んでいます。具体的には次項に記載しています「アブスコパル効果」を理論的に追及し、臨床応用をしています。そのためには、がんが存在する所属リンパ節におけるがん特異的ヘルパーT細胞とがん特異的キラーT細胞の刺激が重要です。当院では、キラーペプチドとヘルパーペプチドを用いた独自の樹状細胞ワクチン療法を提供しています。

放射線による免疫効果「アブスコパル効果」

アブスコパル効果とは、放射線療法において放射線照射野外の病変の縮小効果が認められる免疫学的現象です。
この効果を誘導するためには、①がんによって抑制されている抗腫瘍免疫を活性化すること、②がんによって誘導される免疫抑制を打破すること、が重要とされています 。プレシジョンクリニックグループでは①の目的で樹状細胞ワクチン療法を行い、②の目的で免疫チェックポイント阻害剤を用いています。
私たちは、独自の放射線照射に樹状細胞ワクチン療法+免疫チェックポイント阻害剤を併用することで、アブスコパル効果を狙います。

最新設備を有する放射線医療機関との連携

最新の放射線療法を導入している医療機関は限られています。また、プレシジョンクリニックグループの放射線免疫療法は高度な研究知識を必要とされるため、連携可能な医療機関は限られます。当院では、最新設備を有する放射線医療機関と連携し、がん種・部位・進行度に応じ、トモセラピー、サイバーナイフ、陽子線など最新機器を用いた放射線療法を提案してまいります。

放射線療法の権威性

当院の放射線連携医療機関の多くはトモセラピーを用いています。トモセラピーは、米国NASDAQ上場企業のトモセラピー社が開発した放射線装置で、コンピュータ断層撮影装置(CT)のComputed Tomographyと放射線治療のRadiation Therapyを合成させた造語です。2002年にFDA認可、世界で200以上の施設に導入されています。日本では愛知がんセンターをはじめとして、2005年より導入が開始されています。トモセラピーは、CTで用いるドーナツ型の輪(ガントリー)の中に、放射線装置と、画像を取得する装置(CT)を一体として組み込んでいいるため、それ以前では不可能とされてきた、広範囲かつ線量集中度の高い放射線治療が実施可能になりました。メリットとして、脳と脊髄の同時照射、リンパ腫の広範囲照射、全身に転移した広範囲の照射、骨髄移植前の全身照射などを、強弱を付け最適化された放射線治療を行うことができます。

放射線療法の流れ

  1. 初回問診

    まず始めに、放射線免疫療法の適応になるか否か、個々の患者さまのがんの部位やステージを踏まえて、当院の専門の医師が評価します。当院の免疫療法のタイミングを考えながら、最適な放射線免疫療法の計画を考えてまいります。
    担当医師より放射線免疫療法について詳しく説明いたしますので、ご質問やご不安な点がありましたらお気軽にご質問ください。
  2. 医療連携

    放射線免疫療法は、当院と連携している医療機関で行います。当院から連携医療機関を紹介し、診療いただくことになります。放射線治療計画が決まりましたら、当院の免疫療法併用のタイミングを考えながら治療を進めていきます。
  3. 放射線照射

    がんの種類や、部位・範囲に応じて、放射線照射の強度・回数を決定します。照射の回数等については、当院医師と連携医療機関の医師と相談をしながら決定します。個別症例によって異なりますので、詳しくは当院にご相談ください。
    ※放射線照射は正常な細胞にも一部ダメージを与えるため、照射部位に応じた副作用が生じることが一般的です。患者さまごとに照射量及び回数が異なるためご相談下さい。
    ※放射線照射は当グループの連携医療機関での実施となります。
  4. 治療効果の評価

    放射線免疫療法は、治療開始の前に連携医療機関にてPET-CT等の検査を行います。その後の評価については、主治医のところで行うCT等の画像検査や主要マーカーで評価していきます。また、必要に応じて当院の連携医療機関にてCT等の画像検査を行います。

放射線療法の副作用・リスク

放射線装置の進歩は目を見張るものがありますが、がんをピンポイントかつ強力に攻撃し、正常組織は可能な限り傷つけないものになってきています。
副作用は照射量・部位によって異なりますが、治療中からおこる可能性がある症状として、気分不快、食欲不振、下痢、倦怠感、白血球減少、貧血、照射した部分の肌荒れなどがあります。まれに放射線療法を受けてから半年以上たった後、ときには何年もたってから、「晩期障害」と呼ばれる副作用が起こることがあります。
当グループと連携している放射線治療医ときちんと相談し、副作用を想定しながら治療を進めていくことが重要です。

あらかじめご用意いただく書類・資料

  • 診療情報提供書(紹介状):かかりつけ医療機関が作成するもの
  • 臨床検査データ:血液検査など、最近のもの
  • 画像検査データ:CD-R・DVD-Rなど、最近のもの
  • 使用中のお薬の内容が分かる書類、おくすり手帳、お薬の説明書など

費用

放射線療法は、連携する医療機関で実施いたします。費用は1回の治療で約300万円自費になりますが、詳細については別途ご相談ください。
お問い合わせはこちらから

監修

矢﨑雄一郎

元消化器外科医。日本を代表する免疫療法の開発企業、テラ株式会社の創業者・ファウンダー
1996年に東海大学医学部付属病院に外科医として勤めるも、「救えないがん患者を目の当たりにし、そんながん医療の限界をバイオテクノロジーで変えたい」と新たな道を歩み始める。
その後、世界の最先端医療の開発を行う東京大学医科学研究所の研究員を経て、2004年にテラ株式会社を設立。医師としての経験を生かし、免疫治療を行う日本全国の医師や研究者とともに研究会を発足させて、新しいがん治療の発展に取り組む。特に東京大学医科学研究所と大阪大学の技術のコラボレーションである、WT1ペプチドを組み合わせた樹状細胞ワクチン療法を世界で初めて実用化(2007年)。
がん免疫治療の研究開発で日本をリードし、同分野のトップランナーとして、国内医療機関に対する設備導入実績No.1、国内同治療実績No.1、世界のがん抗原ランキングNo.1など輝かしい成果のもと、医師かつビジネスマンによるバイオベンチャー企業としては、きわめて異例の早さでの上場(JASDAQ)を果たす。これも日本初のチャレンジである、膵臓がんに対する樹状細胞ワクチン療法の本格的な治験を立ち上げ、今もなお保険の承認を目指して進行中。現在、プレシジョンクリニックグループにおいてステージ4がんに対する免疫治療、これからのがん医療の一つとして期待されているプレシジョンメディシン(がんゲノム医療)を推進して日々奮闘する一方、がんにならない社会を目指して「超早期がん医療」の普及にも取り組んでいる。
所属学会:日本癌治療学会、日本がん免疫学会

『免疫力をあなどるな』サンマーク出版; 新装版 (2020/4/28)

6万部のロングセラー。日常生活から免疫力を高めるヒントが盛りだくさん。免疫療法のプロががんと闘う生活、ウイルスとと闘う生活について伝授いたします。