膵臓がんで期待される食事療法:がん治療学会の報告

2023年のがん治療学会で、防衛医科大学外科教室から膵臓がんに対しする食事療法の研究報告がありましたので共有いたします。
術後の膵臓がん再発後にケトジェニック(ケトン食)ダイエットのみで病状の進行が9ヶ月間制御された症例になります。

本研究の結論:
➢ ケトジェニック(ケトン食)ダイエットのみで9ヶ月間病状を制御できた膵臓がん患者さまの症例になります。
➢ 化学療法とは異なり、ケトジェニック(ケトン食)ダイエットは通常、抗がん剤のような細胞毒性による有害事象のリスクを伴いません。厳格に適用されれば、より耐容性があり、腫瘍の進行を抑制するのに効果的である可能性があります。

なぜケトジェニック(ケトン食)ダイエット?
ケトジェニック(ケトン食)ダイエットが強力な腫瘍抑制効果を示すメカニズムについては、主に以下の点が挙げられます。

エネルギー供給の変化:
ケトジェニック(ケトン食)ダイエットでは、炭水化物の代わりに脂質から生成されるケトン体が主なエネルギー源となります。がん細胞はこの状態でエネルギー不足に陥り、増殖や生存に必要なエネルギー供給が制限される可能性があります。

インスリン感受性の変化:
ケトジェニック(ケトン食)ダイエットにより、血糖値が安定し、インスリンの分泌が制御されます。これにより、がん細胞が増殖に利用する血糖レベルが低下し、がんの成長が抑制される可能性があります。

酸化ストレスとアポトーシス:
ケトジェニック(ケトン食)ダイエットは、細胞の酸化ストレスを増加させ、がん細胞に対するアポトーシス(細胞死)を誘導する可能性があります。これにより、がん細胞の生存と増殖が制約されると考えられています。

免疫系の活性化:
ケトジェニック(ケトン食)ダイエットが免疫系を活性化し、がん細胞に対する自然免疫応答を向上させることが報告されています。これにより、体内のがん細胞への攻撃が強化され、腫瘍の制御が促進される可能性があります。

これらのメカニズムは、ケトジェニック(ケトン食)ダイエットが、がん治療において一定の効果を示す理由と考えられています。ただし、個々のがんタイプや患者の状態によって異なる反応が見られるため、個別の治療計画が必要です。
当グループではケトジェニック(ケトン食)ダイエットを含めた治療計画を提案しています。

プレシジョンクリニック東京院長
矢﨑監修